2016年02月15日

古琉球

古琉球伊波普猷の『古琉球』を発見

古本屋でフィルムでとじられているのは見たことがあるが、開いてみたのはこれが実は初めて

内容はさんざん引用されている通りで特に目新しく感じる部分はない





古琉球
本書は昭和17年に2500部再発行された増補改訂版・三版の初版本のようだ
神田の青磁社 定価は4円80銭とある
(初版は明治40年。那覇にて)

この再発行版で特に興味深いのは「後記」だ
比嘉春潮と角川源義の共著になっている

文中には柳田国男、折口信夫の名も有る

曰く「著者は郷土研究こそ却って、沖縄県民に皇国民たるの自覚を興へるものとして、その蒙を開くために多くの研究を発表し続けてきた。(中略)つまり、沖縄の人々のために説くことを目的としたものである」

「東亜共栄圏が人々の口の端に上るようになって、さて一時に、国家百年の事業を遂行する基礎作業として南方研究の必要があげつらひされた」と

「古琉球は、南進する古くして新しい日本の縮図なのである。そして南方につながる新しい勢力の足だまりである」と。後段は時代だが、前段の視点はさすが比嘉春潮(もしかして角川が書いた?)の卓見
















古琉球
結局のところ、伊波は沖縄の本土復帰運動を前にして「沖縄は自らの運命を決められない」と いうコメントを残している

色々解釈があるだろうが、彼の研究を踏まえて素直に読めば一種の諦観であるのは明らかではないか

アイデンティティという言葉が輸入されて以降、夏目漱石を始め、それに悩んだ知識人は多いと思うが、戦後アメリカ文化の影響を受け沖縄の復帰後に生まれた自分には「沖縄には支那(ママ)風があるというが、何が悪い。東京には西洋風があるではないか」と喝破した東恩納寛惇の主張のほうが何の抵抗もなく入ってくる

東アジアで中原の文化の影響を受けていない所はないし、沖縄人は過去中国語を話して暮らしたことはないということだ


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Posted by 比嘉俊次 at 23:09│Comments(0)資料
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