2014年06月14日
塀の上を走れ

田原総一郎自伝
講談社 2012年12月初版 1600円
364ページに自著の目録が付いた厚い本で、ほとんどが「仕事の話」だが、口語で語る形式で、しかも意識してか無意識か、縦糸のプライベートの話が途切れ途切れにでてきて、前へ前へと読ませる力がある。まるで「答えはCMのあと」のような、TV的構成だ
内容的にも面白い。なにより開けっぴろげだ。あざとい部分も隠さず見せながら、自分の考えを率直に述べている。TVで見る乱暴なぐらいの単刀直入さそのまま
タイトルの「塀の上を走れ」は、要するにギリギリということだが、同時に本書の中では「ドロップイン」という田原による造語も紹介される。つまりは「ドロップアウト」の逆で、いろいろやっても体制内に留まるという生き方、森鴎外を参考しているとか
その考え方自体は珍しいものではないが、社会人としてそれを貫くのは難しい。やはり人を開き直らせるのは、不器用さと逆境か
自伝とは直接関係ないが、過去取材の回顧に触れている序章で、ベトナム戦争当時にヘロインが沖縄の米軍に持ち込まれていたこと、そして「農夫が戦車で引かれたことがあったが、事故ではなく追い回してひき殺した」という米軍兵士の証言がある
Posted by 比嘉俊次 at 21:13│Comments(0)
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