2014年04月05日

天才数学者列伝

天才数学者列伝天才数学者列伝
アミール・D・アクゼル

早川書房からの翻訳出版が多いアクゼルだが、この本はソフトバンククリエイティブから。水谷淳訳。1900円。やっぱり安くはならない

数学者の列伝本はいくつもあるが、最高の作品ではないか

ただし365ページあり紹介されていて索引までちゃんと翻訳されている。紹介されている数学者は40人だが基本的に記述は簡素で主要な業績だけでなく、人となりを表すエピソードも十分に含まれている
特にガロアについては多くのページを割いているが、決闘はもちろん、彼の才能を見抜き支援した数学教師にも触れている

またこの本がフェアなのは数学は古代ギリシャに始まりルネサンスの欧州で一段と高みに上ったというストーリーではなく、古代エジプトに算術は生まれ古代ギリシャで数学へと磨かれ、欧州が科学的に停滞している間も、イスラム、インド、中国によって応用が編み出さ手ていたことに触れている
欧米人が書いた数学書にアル=フワーリズミーや李治を紹介しているのは珍しいのでは?

翻訳がいいのか、テンポも良く、とにかく読み物として大変面白い。が、やはり読んでいると、エジプトやイスラム圏、インド、中国と偉大な文明圏ではどこまで行っても、いかに高度であっても「算術」だったのが、ギリシャと時代を隔てて欧州では「数学」になりえたのか
ルネサンスとはいえ一度途切れたものが復活するものなのか?それともギリシャの真理探究は途切れてはなかったということか?
一方、他の文明圏では高度に市場経済が発達したがゆえに人々は真理に目を向ける余地がなかったのか。特に中国はほぼ自前で文字から実用品まで発明し、そして歴史や思想に対する体系を立てていながら、数学に限らず科学全般が脆弱で体系化されなかったのはナゼだろうか?ギリシャとの差はどこにある?

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Posted by 比嘉俊次 at 13:00│Comments(0)科学
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