2012年02月10日

日本語教室

日本語教室『日本語教室』
 井上ひさし 
 新潮新書

2001年に上智大学で4回にわたって行われた講演を書籍化したもの
ゆえに・・・前出の書「漢字と日本人」ほどの濃さも深さもない。その分?読みやすくもあるが・・・

基本的に文中におけるカタカナや欧米文字の乱用による「日本語の乱れ」を憂い、一方で明治時代の初期の漢字による幾多の造語を「漢字倒れ」と表現し、注意を与えている

つまり外来語を排斥するものではないが「和語」を大切にしよう、という呼びかけ。
これは新しいものでも、変わったものでもないけれど、漢字だけでなくカタカナや欧米の文字までが深く日本語に入り込んできている現状をわかりやすく解説

しかし、この本で何よりの発見はアナウンスにおける「間」がなぜ大切なのかを気づかされたこと

日本語は音節が少ない。その上、すべて開音節(すべて母音で終わる)。アクセントも高低2通りしかなく単純・・・となると、アングロサクソンの言葉にあるような「うねり」を作ることは難しく、音の変化や流れは五・七・五などのリズム(間)で作るしかない
あとは韻を踏んで「うねり」に似た効果をいくらか出せるかだ
ならば発声の要点も「間」をコントロールするための「入り」の声の安定度や「止め」の響きのしつけが必要になってくる

そのほか、原稿を読む際に「理解」が必要な「意味の切れ目」についても言及されている

「黒い目のきれいな女の子」

どこで「間」を取るかで意味が変わってくる
他にも
「新聞で汚れた国の大掃除」(新聞週間の標語だそうだ)
「美しき水車小屋の娘」
「むずかしい子どもの教育」
などを例示

(ここではきものを脱いでください、というのが小学生のころ国語の時間に出たな)

「漢字と日本人」では
「かてい(家庭・仮定)の問題には答えられない」という文字の問題からスタートしたが、日本語はそもそも音(文法)においても曖昧さというか不正確さがあるということ

読みがいがある




同じカテゴリー(言葉)の記事
日本語の特質
日本語の特質(2017-02-07 13:01)

ものの言い方西東
ものの言い方西東(2016-04-02 10:29)

文字の歴史
文字の歴史(2015-07-12 10:27)

日本語の歴史
日本語の歴史(2012-12-22 23:38)

Posted by 比嘉俊次 at 15:55│Comments(0)言葉
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。