2015年03月01日

安心社会から信頼社会へ CIA諜報員が駆使するテクニック

安心社会から信頼社会へ CIA諜報員が駆使するテクニック安心社会から信頼社会へ
山岸俊男

CIA諜報員が駆使するテクニックはビジネスに応用できる
J.C.カールソン

安心社会から~
読み返し。「人間の行動基準は、その社会システムに起因する善悪や損得によって規定されていく(つまり適応行動)」という社会学では基本的な認識に基づいた日本分析論
社会的不確実性が小さい(つまりルールや掟、慣習の縛りが強い)社会である「安心社会」が解体に向かい漠然とした不安が広がっている日本社会において、「信頼」に基づいた社会の構築を考える・・・というもの

人を信頼するには人を見る目が必要であり、情報に敏感であり、必ずしも「信じる者は騙される」とはならないこと(筆者はこれらを総合し「ヘッドライト型知識」と呼び、開かれた社会を生きるのに必要なスキルとしている)。人間関係に積極的になれないタイプは客観的に人を見る目、人間関係を見極める目が養われてくる・・・などなど、ビジネス書のコラム欄に適した内容がある

まず、社会心理学のテストの詳細も掲載されているが社会学に興味がない人にはメンドウと感じるかもしれない。でも、「アメリカ人より日本人の方が人を信頼する」という思い込みがある読者に対しては、このぐらいシツコイ説明が必要なのかもしれない

それから、この本の初版が1999年。初めて読んだのは2000年ぐらいか?それから15年だが、残念ながら国際化がいくら叫ばれようが、「安心社会」の安逸は簡単には忘れられまい。ここ最近の出来事に限っても「人種によって住むところを分けた方がいい(本人はアパルトヘイトとは違うと言っている)」と公的に主張する作家がいたり、海外で日本人が人質になるたびに繰り返される「責任」論。これは責任という言葉を使っているが、内容的には「どっちが悪いか」を決めるコミュニティのオーダーに基づく考え方で、オープンな社会で信頼に基づく議論とは程遠い。前述の作家はご高齢だが、「責任論」は地位や年齢に関係なく行われており、根の深さを感じざるを得ない
時間が解決するのか、国際化によって解決させられるのか。あるいは「安心」を求めてコミニティは閉じられる、あるいは仕切られていくのか・・・実は世界的にはクローズドの方向に向かいつつあるように感じる

CIAの諜報員が~
残念ながら期待外れ。CIAとあるので007的な内容を期待したが、「対人スキル」と「ITリテラシー」の本。いたって真面目。佐藤氏が絶賛するのも分かる。
「対人スキル」は書店によくあるビジネス書にある通り基本に忠実。「信頼関係を築く」など、あくまでビジネスに応用できる合法的な範囲の話だけ
「ITリテラシー」については言わずもがな。FBやツイッターは「発見器」と呼ばれるほど人間の内面まで見せてくれる(ように見える)。パスワードをかけようが、「秘密は守られている」と思うほど悠長な人は少ないだろう。日本の雑誌のほうが「見られている」という前提でニセ情報をつかませたり、相手のゆすりを逆手に取る準備など、もっと役に立つ情報がある
情報は集めることより分析する方がずっと大切

同じカテゴリー(社会)の記事
集中講義 旧約聖書
集中講義 旧約聖書(2017-07-09 18:04)

Posted by 比嘉俊次 at 20:22│Comments(0)社会
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。