2014年04月27日
ライシャワーの日本史

エドウィン.O.ライシャワー
1961年から66年まで駐日大使を務めた氏の日本通史。社内の新屋敷文庫でたまたま発見。あまりの素晴らしさに古本を入手
379ページ、1986年初版、文芸春秋1800円
前半の3分の1は中国の模倣からやがて日本が独自の文化を作り上げていく過程
ジョージ.H.カーの琉球の歴史がそうであったように、周辺の大国の文明や文化を吸収しながら独自の文化を築き上げていく過程と、その差異から島国の文化を浮かびあがらせる手法
これはイギリス史あたりにあるパターンなのか?鮮やかだが手慣れた感じもする
真ん中の3分の1は幕末から第二次世界大戦での敗戦まで
廃藩置県の後も実は苦心の連続であった明治の元勲たち、そして維新を成し遂げる素地が江戸時代にあったことも見逃していない。そして一足飛びに「軍部の独走」で片づけずにその背景に触れている
後半3分の1は戦後政治
社会党と自民党の消長、共産党の主張の変化など、この辺りは近すぎて教科書でも遠慮がち書いているだけだが、簡明に言い切っており分かりやすい。
いずれも東アジアの文化に対する敬意が感じられつつも、感情的ではなく(ただし現代、つまり70年代政局は「アメリカ大使」の視点が濃厚)、なにより21世紀の日本社会に来るべき課題が、控えめながらしっかりと示されている。30年も前に・・・しかし、いくつかの点においてアメリカの後を追いかけていることを考えれば、予言できて当然かもしれない
特に富の格差は「占領軍が残した諸々の改革のうち、もっとも抜本的な、しかり実りある成果をもたらした」とする「農地改革」がなされなかった沖縄に近づきつつある。お金はいくら均しても、放っておくとお金がお金を呼び集まりだす。そして富の偏在は学力や民衆意識にもやがて影響を与えずにはおかない
またしかし、このころの本の編者は「インパクト」よりも、本の紹介に徹しており

Posted by 比嘉俊次 at 20:07│Comments(0)
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