2013年10月01日
おどろきの中国
おどろきの中国
橋爪大三郎・大澤真幸・宮台真司
講談社現代新書 900円
三名の著名な社会学者による鼎談
新書ながら378P+あとがきのボリューム。中国社会についての解説半分と論説半分といった感じ
原論とはいえ、帮(ほう)ですべてを説明しようとした小室直樹よりも具体的な議論になっていると思う
特に歴史の分岐点では帮とか言ってる場合じゃないのは、今に始まったことではないはずだ
例えば誰でも不思議に思う毛沢東の神格化ともいえる権力基盤の強固さと没した後の名誉の存続については、「疑似皇帝」という概念で説明している。なるほど
また文化大革命が結果的に近代化への扉を開けたというのも納得できる。歴史って
その他、「天」に選ばれたはずの皇帝が交代する(易姓革命)という理屈が歴史ものを読んでいてよく分からなかったが、「天命が尽きる」という考えがあれば、確かに矛盾もない
ただ「指導部は正しいというドグマ」はどうか?中国に行くとびっくりするぐらい公然と共産党への不満を口にしている(曰く「市民が意見を言う権利は当然にある。中国は独裁国家ではない。ただ、行動に移すとアウトだけどね」と言っていた)。
なにより消化不良なのは「驚きの中国」というタイトルありきの企画なのか、「そもそも国家なのか?」という帯までつけたためか、「中国はこんなにユニーク」という視点に引きずられすぎ。家族や民族が定義できないように、国家もそれぞれなのは社会学なら基本的な視点だろうに。俯瞰して括目させて欲しかった
Posted by 比嘉俊次 at 22:41│Comments(0)
│社会