2012年06月20日
日本国境の新事実
山田吉彦
表紙に「国境の面白話満載」とあるように、トリビア系の本。確かに面白い
実業之日本社の得意なパターン
一つ一つの小ネタも面白いが、読んでいていて感じたのは、圧倒的に武力で劣勢に立ちながら江戸末期から明治の間に日本はサハリンや小笠原を「獲得」した背景
優秀な官僚がいたんだね。明治維新に人気集中だけど、その土台を作った「江戸時代」というのは偉大だね
農民からでも能力がある者を登用し、民主主義という言葉は無くても、民衆にも一定の力があって支配層との緊張関もある・・・琉球との決定的な違いはここかな
各藩に自治もあるから全体として柔軟性もあるから列強にも屈服することなく(戦闘も藩単位で済んでいる)対応し、その後の挽回の道も開けたんだろうし
ただ、もっと個別に詳しい本を探しているけど、なかなか見つからない。李登輝が「尖閣は一時台湾の施政権下にあった」と言っていたが、そうゆうことをあらかじめ知っていないと、こっちの言い分を互いに言い合うだけでは議論にならない
国境の話になると、政治的な本が多く、時系列で客観的事実を整理した本があるとは思うんだけど・・・
筆者は「島に住む人たちは国境を守っている、もっと目を向けよ」と訴えかけてくれているが、大東から与那国東西1000㎞、硫黄鳥島から波照間まで南北400㎞に点在する島々の人の不便に対する意識は沖縄本島の人間ですら薄い
それと、ロシアと北方領土以外に、占領(対馬)事件があるとは知らなかった。本によると、日本側の噂に基づく誤解などもあったようだし、そうした「行き違い」を解消すると、仲良くできないものかな
小笠原で西欧系との混住が紹介されているが、ロシア人って、すべて合理性で割り切る感じじゃないので、筆者が言うように小笠原をモデルケースにできそうだけど・・・ロシアが度々言ってくる「2島返還」ってのは世論が受け入れないだろうし
そもそも、アジアの海で「国境」という概念がいつから明確になったのか、いつまで西欧が作ったルール(内容的に「植民地分割の過程で作られたのか?」という気がする)で行くのか・・・
小笠原で西欧系との混住が紹介されているが、ロシア人って、すべて合理性で割り切る感じじゃないので、筆者が言うように小笠原をモデルケースにできそうだけど・・・ロシアが度々言ってくる「2島返還」ってのは世論が受け入れないだろうし
そもそも、アジアの海で「国境」という概念がいつから明確になったのか、いつまで西欧が作ったルール(内容的に「植民地分割の過程で作られたのか?」という気がする)で行くのか・・・
Posted by 比嘉俊次 at 20:18│Comments(0)
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