2010年10月17日
「大日本帝国」の崩壊 ~東アジアの1945年
加藤聖文著『「大日本帝国」の崩壊 ~東アジアの1945年』
基本的にはサブタイトルにある通り特に終戦前後の
大日本帝国各地での首脳の動きを中心に
帝国の臣民たちの混乱などが記されている
いまや話題になることも少なくなった樺太の先住民に対する戦後の扱いなど
戦時中は「臣民」として扱い義務も負わせながらも
8月15日の帝国崩壊を境に「なし」にされたことなども収録されている
沖縄も「鉄血勤皇隊」などの敢闘もありながら
戦後切り離され軍政下に長く置かれたが、50万を超える県民の声があり
それなりに理不尽を訴求する力もあり、また多くの大和の軍人軍属が
沖縄の橋や道路、学校・病院がことごとく破壊され、私有財産である家
生産基盤である田畑、また家族丸ごと「無」にされたのを直に見ていたのも
沖縄に対する理解の根底にあると思う
しかし他の戦地となった「外地」は・・・
それが大日本帝国をカッコつきで断っている理由
つい最近取材で知ったが、ヨーロッパの国では戦争で私有財産を失った人に対する国家補償や
あるいは被害が少なかった人からの財産の分配制度があるという
が、過去はともかく今日の不発弾処理の責任さえ持たない国もあるからな・・・
しかし、読み疲れするのはそこではなく、戦争の終結に至る外交や政治・・・というより意地や権力闘争などだ
戦地の県民としては奥歯が磨り減るような思いで読まずにはいられない、その間亡くなった方々も浮かばれないのでは
「大英帝国衰亡史」にあるイギリスとの比較も興味深く、再読。この本も3度繰り返し呼んだ。ため息をつきながら・・・
だが、東京から満州~南洋まで一通り全てをカバーして、新書サイズに収めているので
読み疲れと同時に非常に読み足りない感がある本
著者もこのページ数に納めるのに苦労したと思うが続編というか、さらに充実した一冊を出して欲しい
しかしこの方も若い。40代になったばかりか?本人は大戦知る者として著したとあるが逆ではないか?
良い意味で少し距離を置いた客観的な文書は素直に「歴史書」を読んでいる感覚があり、こちらも客観的に学べる
これは大切だと思う
尖閣問題であの島周辺だけがクローズアップされているが、沖縄の歴史、沖縄返還前後の近代史&諸外国のやり取りを
ちゃんと押えておかなければ、揚げ足をとられかねない
Posted by 比嘉俊次 at 10:09│Comments(0)
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