あなたの中の異常心理
あなたの中の異常心理
岡田尊司
一見、ありがちな心理学の本だが、実在した人物や芸術作品を引用した具体的な解説で断然納得し解しやすい
ただ「誰もが異常心理を抱えている」という期待通りの小見出しからスタートし、ページが進むにつれ「あなたの中の異常心理」というタイトルから離れて行ってしまうのは少し残念。タイトルは編集者が後から付けたか?どちらにしても、手に取ってみたという事は成功。さすが幻冬舎
「異常心理=精神障害」「多くの異常心理の萌芽は幼い段階にあり、多くの人は成長とともに克服していく」とのまえがきからスタート
第一章は「本当は怖い完璧主義」
三島由紀夫やガンジーなどを例に挙げながら、その極端な行動とその源泉・原理を解説
二章は「あなたに潜む悪の快楽」
行為の自己目的化とそれに対する一般社会の生理的な反発。そして自己目的化する行為によって短絡的な快楽回路が出来上がり、無限にループ。他者の介在がなくなると歯止めを失いやすい
愛されないことが悪を生み、やがては「認められないことを嘆くより、自ら認められない存在になろう」という価値の逆転によって自己否定を肯定に変えてしまう
第三章「敵を作り出す心のメカニズム」
妄想分裂ポジション=自分の意思を邪魔するものはすべて敵。抑うつポジション=不快の原因は自分にあるのではないかと考える。抑うつポジションが発達するためには全体的な視点を持つことが求められ、その達成には十分な共感の下で自らの非に向き合う必要がある
支配感・征服感・軽蔑という自己防衛。支配欲こそは人間の根源的な衝動なのか?そして支配は中毒になる→スタンフォード大の監獄実験(ミルグラム実験)。社会的役割が個人を超えて、その人の行動を支配する→非個人化。看守役は看守らしく、囚人役は囚人らしく古○用になってくる
ラべリングは問題解決を困難にする心理プロセス。先入観の産物
七章「罪悪感と自己否定の奈落」
問題に行き当たるとき、ユングは正面から向き合うようにしていた。問題の回避は目先の破たんを避けるメリットはあるが、本当の回復を遅らせる、と
関連記事