普天間の謎
「普天間の謎」
森本 敏 海竜社 2200円
初版は2010年7月。先月北谷で買ったこの本は初版
大臣就任後、在庫を取り寄せて並べたのを買ったのかと思う
資料まで含めると550ページほどある大著
しかし売れなかったんだな・・・出版社の販売力、いろいろ言ってもあまり関心のある分野ではない「安全保障」分野の「学者(当時)」の著書ということだろう
私も発売当初は一読して、事象の羅列に「資料だな」とだけ感じた
しかし今、改めて買って読んでみると、20年になろうとする普天間基地の移設問題について、これだけ事象がまとまっている(見やすい、読みやすいとは言えないが・・・)のは資料として中々のものだ
しかも、ちゃんと読むと、いろいろ配慮しながら、サラッと触れたり、遠まわしに欠いたりしているが、防衛の本質への考察はもちろん、「沖縄のことも、それなりに分かっているな」と思わせる部分も多い
→P212 QDRの引用。QDRなんて沖縄の人間以外、どのくらい知っているのか・・・
→P148岸本市長の受け入れ容認発言の全文掲載、
→P122嘉手納統合が進まない理由
「記者」「解説者」を名乗っているものでも、沖縄を知らない人間は「鳩山首相の最低でも県外発言によって・・・」などと表面的な風しか見えてないが、いったん名護市長・議会、そして県知事・議会も受け入れた「移設」を、沖縄の頭越しに、あるいは無視、高圧的な態度で政治家や官僚が土台から崩したのを著者は知り、自ら記しているだけに、大臣となった今、どうするのか・・・
就任直後の自民党・石破代議士とのやり取りも興味深かった。石破氏も見識ある政治家(特に地元・鳥取で耳にした評価は多分野にわたり以外だった)だと思うが、「森本大臣」は「まずは胸襟を開こう」と思ったのか、「アメリカ海兵隊は必ず沖縄で無ければならない、というわけではないが、他県が受け入れない以上、現実的には沖縄にお願いするしかない」という趣旨の極めて率直な意見を述べた
しかし、事態の進展は簡単ではないだろう。赤黒いシミのついた軍服を見たことがない人間と沖縄の認識は違いすぎる(P206)ことが浮き彫りになったし、アメリカ軍、とりわけ海兵隊にとって沖縄は、なんというかOld landmarkのようになっていると感じる
個人的には「普天間の謎」というタイトルからして、ちょっと・・・。普天間=海兵隊基地ではない。歴史ある普天間神宮を擁す普天間、由緒正しき地名を・・・せめて『』でくくってほしい。このあたりに地元に対する意識の薄さが現れてしまう。それは残念ながら県内のメディアでもまま見られる。
さらに輪をかけるのが「普天間は現代の安保闘争だ!」という?な認識。これは出版社が安易につけたものなのか、著者が考えたらな真意を伺いたいところだ
ともかく、これだけの内容を書けて、番組にも出演していただいた縁もあり、注目だが時間があるか・・・
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