戦後政治史

比嘉俊次

2012年03月28日 20:20

 岩波新書『戦後政治史』900円
石川真澄の原著に、2004年山口二郎が加筆

コンパクトにまとめてあるので、ほぼ「流れ」の羅列
そこに「政治ドラマ」はないし、得票数などのグラフもほとんどなく、縦書きに数字が入っているため読みにくい

とはいえ、戦後政治を概観するには足りる。そして、タメ息が出る
筆者が自嘲気味に述べているように「政治史」ではなく「政界史」というべき内容になっている

日本に限ったことではないが、結局民主政治は今日に至るまで思うような成果を発揮できていない。相変わらず無駄も利権も戦争もなくならない
「哲人政治」がいいのかと思ったこともあるが、東大を出てまさにエリートである官僚出身者たちが結局は政治ではなく政界に振り回されてしまっているという現実を見ると・・・

沖縄でも現実の問題とかい離した「基地問題」という政治課題を挟んだ綱引きが続き、基地の衰退には誰も効果的な手を打てない

「歴史の終焉」ならまだいいが、人間界が行き詰っていよいよ技術の進歩に逆に人間が圧倒される日も近いのではないかとSF的な不安も

技術と言えば、ケータイのカメラがずっと不調。焦点が合わずブログもアップできないが、最近読んでいたのは取材を進めている自衛隊の関連本を数冊

やはり自衛隊は様々な意味で特殊な組織。特別な公務員、背広組と制服組、そして3軍の距離、階級と縦割り、そして他国の「軍」との違い・・・。その一方で、極めて日本的な組織でもあり、政界と同じく「機能」に徹しきれない難しさ
直接、自衛隊(とはいえ、組織上は防衛省の職員も「自衛隊員」となっている。意外)とは関係ないけど、守屋事務次官の事件を描いた森功の「狡猾の人」がこの組織の難しさの本質を図らずも浮き彫りにしているかもしれない。早期警戒機選定・導入の経緯など、本筋から離れた部分での「解説」だが、端的で分かりやすい
 

関連記事