図説世界の「最悪」クルマ大全

比嘉俊次

2011年09月22日 21:51

図説世界の「最悪」クルマ大全
グレイグ・チータム著
川上完監訳 
原書房2400円

デザインや機能面で「最悪」といわれる古今東西の150台を紹介

おそらくイギリス人とおもわれる著者の、イギリス人らしい(?)辛らつ、かつジョークを交えた車評が中心で「図説」とタイトルにあるにも関わらず、基本的に写真は各車2カット。基本的にその辛らつな車評を読んで楽しむ本

エンジン形式と燃費はあるのに全長×全幅×全高がなく、何のための川上さんの監訳なのか・・・テクニカルな資料としての価値は乏しい

が、アルファ・スッドなど有名な問題車だけでなく、ブガッティ・ロワイアルやローバーSD1など有名だが写真をあまり見ない車が多く乗っているのはやはり車好きには楽しい

また機能的には失敗作かもしれないがデザイン的に見るべき点があるオースチン・プリンセス18-22、シトロエン・GSビロトールなど、車の辞典にも載らないような実用車も数多く掲載されているのがいい

特に
エドモンド・ローウィのスチュードベイカー・アバンティは今見てもクールなデザインだと思うが・・・やっぱりわかりやすさがないと売れないのか

他にもモーガン・プラス4プラス、オーグルSX1000など絵になる車もあるが売れなかったか・・・機能、品質、デザイン、そして価格、車を売るのは難しい・・・とびっきりの皮肉の中にもそんなことを感じさせてくれる車への愛を感じさせる

しかし、どうしても納得いかないのは初代コスモ(110S)やSVXなどがデザイン面で酷評されていること
90年代までの日本車は5ナンバー枠の関係で縦横比が悪く、悪路も考慮して腰高で(典型がアルシオーネ)基本プロポーションがヘンだが、センスはイギリス車ほど悪くない
イギリス車はレンジローバーやミニ、ジャガーのXJ、アストンマーティンDBシリーズなど傑作もあるが、マーコス・マンティス、バンデン・プラ1500などどう見てもヘンな車が多い

ただ、日本車は80年あたりまではほんとパクリが多いなということに改めて気付く。プリマス・クリケット、オールズモービルのトーネード、シボレー・シェベット、フォード・マーベリックなどなど、この本に載っているだけでも日本車でも見覚えのあるシルエット、ディテールが・・・
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