自壊する帝国
佐藤優のドキュメント
本の世界では「ノンフィクション」の分類が普通だが
一人称を基本として、背景説明の挿入など
欧米のドキュメンタリービデオの構成に近い
なんとなく視覚的な感じがする「記録」
社会主義、マルクス主義、ロシア正教、人称など
「ロシアもの」を読むものを挫折させる要素を
知らなくても読めるようになっている
逆に言うと、一見客観的でも著者の世界観・視点に
読者は無意識に引き込まれる(引きずり込まれるととも)
だからなのか、理路整然としながらも読み終え
少し離れると腑に落ちない部分もある
例えば「情報はタダで手に入るものか?」という疑問
情報は『等価交換』が基本だとおもうが・・・
細かなテクニックや、取り入るまでの道筋はあるものの
その奥義は明らかにされてないと感じる
著者は自分で「自分にはずるいところがある」といっているが
これは卑下でも謙遜でも本当だと思う
まず何がずるいって、自分で宣言してしまい、先に避難口を作っている
だけど、同時に著者はすごく真面目で、「思想」とか「政治」よりも、
ドフトエフスキーのような「魂」について描きたいという意図が見える
章立て、というか激動の縦糸(ストーリー)と静かな横糸(人物)の織り込み具合もしかり
関連記事